発掘1日目
5時半くらいに目が覚めた。テントの中は21℃、湿度70%、なんかテントのインナーとフライシートの間で結露している! 数回、ここに来ているが結露なんてはじめてだ。
手洗い場が従来の棒を下から突き上げるものから変わって、下の水タンクを踏むと出てくるものに変わった。これ、水の量の調節が効くので節水になる。すばらしい。左側には液体洗剤のノズルもついててとても使いやすい。排水は外に溝掘って流すのだけれど。手洗い場の左の青い筒は水タンク。
発電機が動いている間はスマホやデジカメなどの充電できる。基本は、冷蔵庫を動かすための発電だ。
毎日のスケジュールとして朝ご飯7時、お昼ご飯13時、夕飯19時。
キャンプ地からちょっと離れたところにトイレが設置された。ことしも穴の上に洋式の便器を置き、テントで囲ったもの。テントの入口が閉まるので、完全個室にもできる。
さていよいよ発掘。まずは去年埋め戻した地点を特定し、掘り返すところから。
粛々と掘っていくと、化石にかぶせた黒いビニル袋が見えてきた。
頑張ってどんどん掘る。10時頃で気温は32℃。
化石の様子は、基本的には研究されて発表されるまで内緒なのでモザイクをかけている。 竜脚類らしき大きめの骨、とだけ言っておこう。
12時頃、気温は42℃。日向の気温なので、実は日陰はそれより10℃くらい低いのだった。
初日なので炎天にみなさんだいぶ弱っている。お昼の時間は日陰に入れるので助かる。
お米とひき肉は日本人の胃袋にやさしい。
発掘の過程で出てきた小さい骨や歯などは小袋に分けて保管する。
夕方になると気温が下がってきて28℃くらい。
19時夕食なのだが、夕方になって気温的にも楽になってくるのでみんななかなか掘るのをやめない。作業を終わりにしたのは19時半近くだった。
夕飯は焼き肉だった。ゆうべは簡単に済ませたので、今夜はアルヒも振る舞われて、スイカなどもあった。ウェルカムパーティーといったところか。
最初の夜ほど虫がいなくてホッとした。
月が沈むと星がたくさん見えてきた。人工衛星がよくみえる。ペルセウス流星群の時期でもあるので、流れ星も結構見える。
三脚を持ってくるのを忘れたので、狙った星は取れなかったが、デジカメを地面に置いて星を撮ってみた。月が完全に沈むまで待てば天の川ももっとはっきり撮れたかも。でも酔っ払ってたし眠かったので22時半くらいにはテントに戻って寝たのだった。
発掘2日目
5時くらいに目が覚め、5時半くらいに起きて、6時半くらいにテントの外へ出た。以後、だいたいこんなペースの日々が続く。外は20℃、湿度76%。昨日と同じくらいだが結露は少なめ。
モンゴルスタッフは昨夜だいぶ盛り上がっていたので起動が遅いようだった。
朝ご飯はスープとパンと卵だった。カップには日本から持ってきたコースターで蓋をしている。虫が入らないようにと今年初めて導入した。なかなかいい感じ。
みかんのような柑橘が出た。温州みかんではないようだ。南津海的な、カラマンダリンとみかんをかけ合わせた何かのようだった。
朝イチでドローンを飛ばして状態を記録する記録する。そして見えている化石をジャケットできるように掘り進める。
掘った土砂はスコップで放り投げていたのだけれど、だんだん掘り上げた土の山が高くなって、放り投げる高さがきつくなってきた。一部、土をバケツにいれてから運び出す作戦にでた。道具箱として使っている赤い袋をバケツにしたのだけれど、これにいっぱい入れてしまうと私は運べない。力持ちの若者が大型スコップで土を掘るのとバケツを運ぶのと両方やるとあまり効率は上がらないし、私が運べる量にするとそれはそれで効率が上がらないのだった。まあ、地道にやるしかない。
お昼ご飯に今度はリンゴが出てきた。赤いのは大根の漬物みたいなやつ。暑さに甘酸っぱさは助かる。私のお皿に野菜しかのってないのは、この日の肉料理がピーマンといっしょに煮たやつだったから。ピーマンは、混ざっているだけなら除ければなんとななるが、煮込まれると辛い。
なぞのジュースは「テレルジ」と書いてあるハーブの入ったジュースのようだった。なんともよくわからない味で、日本人メンバーからはあまり好まれなかった。
普段は午後は15時くらいに作業開始するのだが、この日は暑くて16時頃までテントの下でだらだらしていた。
掘り進めている穴はだいぶ大きくなってきた。
夕方になると空模様が怪しくなってきた。雷鳴も聞こえてきた。遠くで雨が降っているみたいだ。幸い、この日はこちらまではこなかった。
夕食は鶏肉の揚げ焼きだった。これ、日本の鶏より大きくないか?
デザートには桃の缶詰が出た。背後に写っているのはひまわりの種のお菓子。殻ごとのひまわりの種の殻の部分にキャラメル味とかなんとか味とかがついている。口に含んで歯で割って中身を食べるらしい。ちょっと食べにくい。
レモン味のソーダは日本人メンバーには好評だった。
暗くなり始めた頃、モンゴルスタッフがなにやらクリスマスのライトみたいなやつを準備しはじめた。絡まっていてほどくのが大変そうだった。このライト、太陽光充電で、点滅したり点灯したりを自動で繰り返すスグレモノだった。
発掘3日目
朝ご飯は7時なのだが、ご飯前に発掘現場であれこれやっててなかなか食堂に来な人たちがいたりする。
この日の朝ご飯は盛り付けられて出てきた。こはんと卵焼きとソーセージとトマトと海苔。
紙パックのジュースな切れ目なく提供され、我々を潤した。
ジュースの下のミニケーキは、緑色のクリームが挟まっているのだが、このクリームが何味なのか釈然といなかった。どうも抹茶のつもりのようなのだが。
日本の「ばかうけ」的な味のするせんべいはベトナム製だった。
朝の作業は、ドーロンだったりカメラだったり、現状の撮影から入る。
この日から、ジャケッティングが始まった。最初は ギプソナで細い化石を包んで取り出していた。
本格的な ジャケットは、石膏を麻布に染み込ませて巻く。このときの石膏液の濃さは、研究者によってまちまちだったりする。バイラさんはわりと緩めに作るらしかった。
ペットボトルを加工してひしゃくにしてたり、穴からジャケットを持ち出すときは麻布で運ぶなど、現場ではいろいろ工夫している。
お昼は韓国のりをたっぷり食べてみた。お肉の煮たものと合っていてなかなかよろしい。
お昼休み中、温度計の「最高値を撮影する」という遊びが勃発した。これ、撮影タイミングがちょっと難しい。日向に置いておくとどんどん温度が上がっていく。47℃くらいまで上がったのだが、曇ると一瞬で温度が下がる。太陽と雲、すごい。
そしてあまり上がりすぎると温度計がバグる。88.8℃88%という表示になったあと、中心部分に黒いシミができてきた。日陰に戻すと正常に動いた。
手洗い場の溝が長くなっていた。キャンプのスタッフはこういった細かい仕事をいろいろやってくれていた。ひとつ大きな謎がある。「リグデンさんのあと、トイレにハエがいない」という現象である。観察していた人によると、リグデンさんは手ぶらで出てくるということでなにか器具を使っている様子はなさそうだとのこと。どういう技なのだろうか。
今年見かけた動物はトカゲとカラスとトンビ。ハリネズミにはお目にかかれなかったし、牧民の家畜もやってこなかった。
午後、発掘現場にはタープがかけられた。日陰で作業できるのは助かる。ジャケットもじゃんじゃん作られた。
夕方、空がだいぶ怪しくなってきた。今日の作業の終わりに現場はシートを掛けるなどして雨対策をした。この日もみんななかなか発掘現場から離れなくて、夕飯は20時頃になった。だいぶ暗くなってしまった。
うどんは、小麦粉をこねるところから作っているはず。私はモンゴルの汁うどんが大好きなのだが、焼きうどんもおいしかった。
夜中にはだいぶ強めの風が吹いていた。雨はさほど降らなかったようだ。