発掘 後半

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発掘4日目

朝、発掘現場はシートがかけられていた。ジャケッティングの時に使っているたらいは雨が降ったら水を受けようと並べられていたが、降った様子はなかった。

朝ご飯はパンの上にトマトと目玉焼きをのせたものとスープだった。
トラックの中のキッチンは、プロパンガスのコンロを使っている。圧力鍋には大変お世話になっている。

朝の記録タイム、昨日まで出た化石の位置などをスケッチしている模様。
午前の光の中でうまく影になるようにタープの位置をみんなで調整した。その後、また黙々と掘り始めた。

発掘中日にして私のトレッキングシューズが壊れてしまった。靴底がべろんと剥がれる。寿命、いつだろーなーと思っていたがこんな時に来たか。他のメンバーからセメダインを借りて貼りつけ、持ってきていたガムテープでぐるぐる巻にした。セメダインはくっつくのに時間がかかるので、しばらくは片足サンダルで作業だ。まあ、歩き回らずに掘っているだけだから大丈夫といえば大丈夫。

お昼は骨付きの羊の茹で肉だった。
いつもはレモネードの粉末を持参しているのだが、今回は期間が長くていつものやつじゃ足りないし、と思って20個入の「レモンシュガー」というものを買ってみた。これ、粉末レモネードとほぼおなじ役割を果たした。紅茶に入れればレモンティーになるし、水に溶かせばレモネードになる。
黄色いファンタ、キーウィかなと思ったがどうやらパイナップルだったようだ。

この日も午後になって空模様が怪しくなり、こっちに来そうだとのことで作業を中断して化石にシートをかけ、ジャケットもブルーシートにくるんで保護した。
風が強くなったのでテントの中に退避。かなりの強風。雨は少し。凄い音の雷。
16時頃になっておさまった。テントは耐えたけど、風上のフライシートを止めるペグが抜けていた。

発掘再開して19時半ころまで作業した。
ジャケットには、どのチームがいつ掘り出した何個目のジャケットかというのを書いておく。モンゴルスタッフが墨で器用にフォント的な文字を書いていく。

夕飯は揚げパンとパスタだった。ちょっと炭水化物祭り。

この夜は、中指で骨(シャガイ)を弾いて的にあてるという遊びをやった。「相撲・競馬・弓に次ぐナーダムの4番目の競技だ」という説明があったが、ググってもでてこないので、正式名称がわからない。(追記:シャガイハルワーというそうだ。同行メンバーが教えてくれた。なんとユネスコの無形文化財になっていた)
スタッフの一人がこのゲームの名手だということで、実演してみせる。結構遠い的にピシっとあてることができる。日本人も挑戦したがうまく飛ばず、どんどん的に近づいて…。なんとか的に当てた。
このゲーム用の革の用具入れとか指につける油とかあって、結構伝統的ななにかのようだった。
羊のくるぶしの骨をサイコロのようにして遊ぶシャガイは知っていたが、これは知らなかった。

発掘5日目

朝、結構冷えた。5時半に置きた時点でテントの中で19℃、湿度81%。

この日は午前中も涼しめで、10時の時点で25℃。
ジャケットしたものをひっくり返すために化石の下を掘る。この作業をしている間も下から化石が出てきたりして、どこで切るかが微妙なので、主にモンゴルスタッフがやっていた。
我々は、そのまわりで、これからジャケットするであろう化石のまわりを掘っていく。どのように化石を切り出すかはバイラさんが判断していくことになる。

お昼ご飯はお米と肉料理とサラダという定番。材料はほぼ同じなのだが、味付けや調理方法をちょっとずつ変えて飽きないように作ってくれる。

プラスチックゴミなどは持ち帰るのだが、生ゴミはだいたい自然の中に放置する。虫や小動物のご飯になるのだ。そのせいか、カラスが寄ってくるようになった。だいたい2羽でくる。

午後にまた嵐が近づいてきた。作業の手を止めて様子見。
誰かが、バケツに石を投げ入れる遊びを始めた。みんなで小石を投げる。うまく入れば拍手。雷鳴るし、虹も出るし…。

そのうち風が強くなって大粒の雨が降ってきたので、発掘現場をシートで保護して一時退散。
晴れてきて18時に作業再開。雨上がりはひんやりして22℃になっていた。

夕飯は焼いたお肉だった。ナイフで削いで食べるのがお作法のようだったが、私はうまくナイフが使えなかったので、そのままかぶりついた。ポテトがとてもおいしかった。

発掘6日目

この日はもう、これ以上掘らずに、ジャケットしてあるものを裏返して、裏側のジャケットをするだけで、午後は バインシレ層の模式地に プロスペクトに行くことになっていた。

メンバーの日本食放出が盛んになる。私は他の人が持ってきたフリーズドライ味噌汁をいただいた。
ナラさんのご飯が普通においしいので、持ち込み食材は積極的に食べないと減らないのであった。

モンゴルスタッフの履いていたトレッキングシューズにティラノっぽいマークがついていて、激写させてもらった。Made In Mongoliaといっていた。モンゴル特別モデルなのかも。
あとで調べたがTREXは日本でサイクリング用の靴は売っているようだが、トレッキングシューズは見当たらなかった。

去年も化石の凸凹を捏ねた土で埋めていたが、今年はさらさら砂で埋めていた。また、長い化石には添え木をしてその上からジャケットしていた。
12時の時点で30℃。今日はそんなに暑くない。

ずっとモンゴルスタッフだけがジャケッティングしていたが、この日は日本人もやらせてもらった。
初参加の大学生が文字入れもやっていたが、なんと、見事にフォント的文字を筆で書いていた。すごい。
石膏は水で洗い流すのだが、水節約のため、砂で大方落としておくということをやったりするのだった。

お昼はカレーっぽい汁物とサラダだった。

午後は車に分乗して バインシレ層の模式地にプロスペクトに出かけた。模式地とは、地層の名前がついたもととなる場所のことだ。千葉のチバニアンみたいなやつだ。

途中、K氏の通称「北京ダック」現場に立ち寄ったが、それは恐竜の骨盤らしいとこだった。

ここで2時間ほど、散開して化石を探す。

こんな時になんと貼り付けた靴のかかとが剥がれてぱこぱこになってしまった。歩きにくくて困る。
ひとりで探しにいった大学生は、なんと小型獣脚類の歯をたくさんみつけた。
K氏についていった発掘初心者は、崖の上で何かを掘っていた。

2時間、わりとあっという間。私は何も見つけられなかったけど、歩き回るのは楽しかった。靴がしっかりしていればもっと冒険もしてみたいところだったが。

夕食にはどーんとビールが出た。今回の日本人メンバーはビールを飲まない人が多くて、なんか余ってしまっているようだった。
メインディッシュはチーズハンバーグだった。なにげに韓国海苔を巻いたおにぎりがあり、わりとみんな喜んで食べてた。もしかするといつも鍋のお米が余ってしまうので、その対策だったかも。

夜はバイラさんのタブレットで、「クラシックのおもしろコンサート、ブラジルでのライブ」の鑑賞会だった。ワルツとかマーチとか歌曲とかいろいろな曲をわいわいしながら演奏するエンタメDVDのようだった。

発掘7日目

朝、外は18℃だった。だいぶ風が冷たい。

朝ご飯は大好きな揚げパンのサンドイッチ。

発掘現場では、掘り出したあとのドローン撮影をして、今日はもう埋め戻すだけ。

かなり掘ってでこぼこしているということもあり、埋め戻す際はゴミ袋に飲み終えたペットボトルや空き缶を詰めて緩衝材にしていた。わー、こんなの初めて。その他に、ペットボトルに砂を詰めてこれも緩衝材として堀り残している化石に沿わせたりしていた。

みんなで一斉に埋め戻し。その横では、石膏を溶くのに使ったたらいをきれいにする人たち。
9時半くらいから埋め戻しを始めて1時間くらいで作業を終えた。

埋め戻し作業が終わると、我々はすることがない。
昨年、化石パズルをしたやつがあったので、もう一度パズルしてみたりした。
いつもの丸い頭ではなく三角頭のトカゲがいた。こいつ、だいぶ動きが速かった。

お昼はパイナップルののったチキンだった。いろいろ考えるなぁ。
透明なファンタは桃味だった。いろは水・桃の炭酸バージョンみたいなものか。

お昼が終わると直ちに夕食づくりが始まる。肉はブロックで持ってくるみたいで、大きな包丁で細かくしていた。小麦粉を捏ねて、今夜はボウズが出るらしい。

トラックにジャケットを積むのも大仕事。
「北京ダック」現場も埋め戻し。

倉庫テントの中、LED電飾を飾り付けて、夜はまた焼き肉パーティーだった。
持ってきた塩昆布を消費せねばとご飯にかけてみた。
肉をたらふく食べたあとにボウズがでてきた。ボウズ、大好きなのに食べきれなかったー。

キャンプ地の夜は今日まで。明日はウランバートルに向けて出発だ。

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